「考える人」
「1Q84 book3」を読み終えてから、7月に発売された季刊「考える人」という雑誌に掲載された村上春樹さんのインタビュー記事を続けて読みました。
5月に箱根のホテルで3日間かけて行われた約80ページに渡るロングインタビューなのですが、学生時代の読書体験や店を経営しているときの話、私生活が垣間見れるちょっとしたエピソードから文学論まで幅広くとても興味深い内容でした。
その中でも特に「物語を紡ぐことの意味」、創作論の考え方が個人的にとても腑に落ちました。小説とは心的イメージを物語のかたちに置き換える作業(パラフレーズ)だと村上さんはいいます。ときに読者がストーリーの難解さ(謎)に答えを求めようとしますが、それに対しては「自分にとってより身近な、切実な問題に置き換えること、その落差の中に答えは潜んでいる。」とのこと。
まさに純文学を読むことの醍醐味なのですが、技術論をジャズになぞらえて語っている部分も共感しました。自身の理想とする文章を、テクニックがありながらそれを感じさせないサックス奏者チャーリー・パーカーの演奏にたとえた上で、「文章がうまいとか、すばらしいとかそんなことはどうでもいい、それ以上の何かを表現するために文体がある。」といいます。
たしかにジャズもテーマを演奏者がインプロヴァイズ(即興)する音楽ですから、パラフレーズする行為としては同じですよね。っていうか芸術ってそういうものですよね・・ あのマイルズ・デイビスは「俺はミュージシャンだ。チャーリー・パーカーはアーティストだった。」という名言を残していますが、きっと生きていたら「ムラカミはアーテイストだ。」と言うんでしょうね(^^)
もちろん「1Q84」についても触れていますが、続編についてはまだ白紙状態とのこと。まあ、どう考えても続く内容ですが、その後青豆さんは現実世界に戻って絶対的な善悪についてどう悩むのか、天吾さんは過去とどういう折り合いをつけるのか、果たしてリトル・ピープルとは何なのか、等々。気になることは山積みですが、刊行された時にはまたじっくりと自分なりにパラフレーズして楽しみたいと思います。
考える人 2010年 08月号 [雑誌] 価格:1,400円(税込、送料別) |
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