フロスト×ニクソン
気になっていたのですが、なかなか観られず、早くしないと終わってしまいそうなのであわてて「フロスト×ニクソン」を観に行きました。
アメリカ歴代大統領の中で、唯一任期途中で辞めたニクソン大統領とイギリスのテレビスターのインタビュー番組を題材にした映画です。汚職事件後の汚名返上と多額のインタビュー報酬を目論むニクソンに、視聴率を上げテレビ界での成功を狙うコメディアン上がりのフロストが対談で歴史的な「ある告白」を引き出す、という内容でした。
ウォーターゲート事件を背景とした史実にまつわる内容ですからストーリーは複雑ではないのですが、海千山千のニクソンが、そもそも格下と感じている若輩で筋金入りのジャーナリストではない他国のテレビスターに結果的に翻弄されてしまうというのが、なかなか娯楽映画としても楽しめる佳作でした。
特にこの二人の演技は見ごたえがあり、ニクソン役のフランク・ランジェラのしぶいこと。名演ですね!マイケル・シーンのデビッド・フロスト役ともに自信がありながらもどこか人間的な寂しさを含んだ演技でした。
ニクソンが作中に過去の自分の生い立ちを振り返るところや良い家系・良いルックスのケネディーへのコンプレックスを吐露するところなどは人間味があって、これが実像だったのでしょうか。また、大統領選でのテレビ討論が重要視しされ始めた時代ですが、こういったインタビュー番組自体も「テレビ媒体が与える大衆への影響・危険性」のうえに立っているという自己批判を関係者に後年インタビューするという形で表しているのも奥が深いなぁと感心しました。