緒形拳さんと川越
俳優の緒形拳さんが亡くなりましたが、報道を聞いているかぎりではガンの外科手術をお受けにならなかったとか・・。
よく分かりませんが、手術することによって仕事に大きな穴が開いたり、演技に対する先入観を与えたくなかったとしたらスゴいプロ根性ですねぇ。
ということで、ビデオ屋さんで出演作を借りてみようと思い、緒形拳さん主演の川越が舞台の映画「鬼畜」(’78)をウン十年?ぶりに見ました。
実は作中の印刷屋さんのオープンセットは雨風食堂のすぐ近くの路地で、小さいころロケを見に行ったのを憶えています。ちょうど田中邦衛さん扮する警官が夜に印刷所を訪れるシーンを遠くから見ていたのですが、久しぶりに見る映画の中の川越の町並みはとても懐かしく、ずいぶんと時は流れたんだなぁと実感してしまいました。
肌色の東上線、関口人形さんや福岡無線さんの看板、蓮馨寺のピープルランド(という小さい遊園地があったんです)、まだ蔵を隠している一番街の町並み。なつかしー!
また杉田ガラス屋さんの湾曲ミラーに姿を映したり、川越市駅の階段をステテコ姿で駆け上がる緒形さんに改めて親近感をおぼえました(笑
松本清張原作、野村 芳太郎監督の本作品の内容は重いものですが、本質的な人間の弱さや欲深さを見事に演じている緒形さんはやはり名優ですね。それと岩下志麻さんのコワいこと・・。
たまたま今日から始まる倉本聡さんのドラマ「風のガーデン」が遺作になったらしいですが、緒形さんが望んでいなかったであろう観る側に先入観の入ってしまう演技をこの1作だけはたっぷりと楽しませてもらおうと思います。最終回の最後のシーンは12分間におよぶリハーサル無しの一発撮りがあったとのこと。しっかりと泣かせてもらおうっと・・。