チーム・バチスタの栄光
海堂尊さんのチーム・バチスタの栄光を読みました。
バチスタとは拡張型心筋症を治すための心臓移植の代替手術で、体中に血液を送るポンプの役割をする心臓の伸びきった心筋を切り取って肥大した心臓を小さく作り直すというとても難易度の高いものだそうです。成功率は約6割で、手術の創始者がバチスタ博士ということからこの俗称になったそうなのですが、この本の作者も実は現役のお医者さんです。
というのも、文中に医学用語がたくさん出てきて手術の場面などは記述が詳細で臨場感があります。恐らくごまかしなく現場の状況を小説の中で再現されているのだと思います。(素人にはそうに違いないとしか言えませんが・・)
ただ、筆致はムム~?という感じでした。物語の内容は日本のバチスタ手術のドリームチームが連続して術死を出してしまい、内部監査でその原因を追究するという、ミステリーとしては興味深いテーマだったのですが、展開はいまひとつ面白さにかけました。途中で個性的なキャラクター(役人なんですが)が出てきて少し面白くなるのですが、奥田英朗さんの小説に出てくる伊良部医師の2番煎じのようだし、チームバチスタのエースの医師なんかは人物造形がうすっぺらいようにも感じました。
しかし、小説の内容は別にしても、こういった医学の進歩でなしえる最先端の手術ってスゴいですね~。たまにテレビで神の手などと評されてますが、無条件にスゴいなあーと感嘆してしまいます。なによりも人の命を救ってるんですものね。頭が上がりません。