ライ麦畑でつかまえて
もう四半世紀も前の話ですが(笑、当時好意を持っていた女の子が、サリンジャーの名作「ライ麦畑でつかまて」を片手に携え、『今これを読んでいるの・・』と言っていたのがとても印象的で、たまたま当時のままの懐かしい青い色の装丁を見かけ、初めて読んでみました。
当時の私は高校生でしたが、当然のごとく多感な時期で、基本的にあまのじゃく。音楽や読書、映画などの好みでさえ自分の認めるもの以外は受け付けないような感じで、この本も読んだことさえないのに名作というだけで避けていました。
この女々しいようなタイトルと昔の思い出も重なって、すっかり私は何十年と女の子が主人公の小説と勝手にイメージしていましたが、まさに高校時代の私のような若者が主人公だったとは・・。
有名な野崎孝訳を読んだのですが、翻訳はだいぶ賞味期限切れ。文学的な意義は1950年代のアメリカの時代背景を考えるべきですが、正直言って40を過ぎて好んで読む内容ではないですね(笑。オトナへの通過儀礼を扱ったストーリーですから、20代以下なら共感するかもしれません。ただ部分的にいえば、主人公と妹のこの題名の意味を語るところや、後半に出てくるホモっぽい?先生が勉学について諭す会話などはなかなか味がありました。
しかしこの原題「The Catcher in the Rye 」をこのように訳したのは、物語全体の意味を考えると主人公の懇願のようにも聴こえるので、タイトルはうまい訳だなあと思います。当時のあの子はこの本を読んでどういう感想をもったのかなぁ。