雨風食堂日記【甘味処 川越 あかりや店主の日々雑感】

2008年5月10日(土)

もったいない?


 僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。
その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件をあたえられたわけではないのだと」

(昨年読んだスコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」の冒頭より)

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人様のことをあれこれ言うまえに自らを省みないといけないとは思いますし、まして広く見れば同じ飲食業として同業の方を非難するのも気がひけるのですが、今回の高級料亭の「食べ残し」使いまわし騒動にはとても憤りを感じます。

恐らく私も含めて同じ飲食業界の方のほとんどは、「そんな低レベルのことはウチでさえやっていない」とおっしゃっているのではないでしょうか。

一度お客様へお出しした品物はたとえ箸をつけずに帰ってきたとしても、風味が落ちるという基本的なことを考えなくとも、何が混入するのか見た目では分かりませんし、そういう意味で「もったいない」という発想よりも先に安全性を疑うのが食品従事者の常識です。(もっと具体的にいえば、お客様は帰られるまでにタバコを吸われたり、食後にお薬を飲まれる方もいらっしゃいます。)

ましてそれがお一人様何万円もとる高級料亭。本来、うちのような小さな飲食店と同じくくりにされたくはないと思いますが、お客様から「あんな高級店でそんなことをしてるんだから、小さい店なんて当然・・・」という疑念を抱かれるとすれば、こちらこそ同じ飲食業界とされるのは願い下げです。

甘味処 川越 あかりや

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Filed under: 未分類 — 店主 @ 23:58:15
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