雨の日の魚屋
菜種梅雨とはよく言ったもので、今週はまるで6月の梅雨時のようですね。
昔、聞いたエピソードで今でも忘れられないのですが、ある魚屋さんの話でした。
大手のスーパーなどに押されて今ではなかなか経営環境も厳しい町の魚屋さんですが、そのお店はなかなか繁盛しているというのです。
というのもその魚屋さんは下ろした魚の余りものを使ってスープを作り、雨の日にわざわざ来てくれたお客様に振舞うのだそうです。なるほど、おいしいスープならうれしいし、それを目当てにお客さんも集まるんだろうなあと思います。それだけなら、ああそういうサービスの良い魚屋さんも中にはあるだろうなあと話は終わってしまいますが、そこの店主、一味違うのだそうです。
お客様が商品を受け取って雨の中を帰ろうとするときに、ちょっと雨に濡れて追いかけてスープを渡すというのです。お客様からすると「わざわざ雨に濡れてまで・・」となり、そのサービスが与える心理的効果は倍増するのだそうです。冷めて考えればとても打算的な感じもしますが、サービスという言葉が当たり前の世の中にあって、商いをする側からすると実は自分が考えているサービスは果たして独りよがりで完結してはいないだろうかと省みるべきエピソードであって、お客様が満足を感じて、はじめてサービスになるという教訓でもあります。
そうは言っても、なかなかお客様へ満足感を与えることの難しさ。日々、サービスのスピードや言葉の足りなさとか諸々の悩める日々。毎日が修行ですね。