9.11 NYテロと「となり町戦争」
もうあれから5年が経つんですね。。ちょうど雨風食堂のオープンがあの年の9月29日だったので、当時の事は鮮明に覚えてます。毎日準備作業にヘトヘトで疲労とプレッシャーから体重が5キロほど痩せたのですが、あの映像を見た時のショックは忘れられません。
ここで戦争や侵略、テロリズムや平和主義について書こうなんて大それたことは思わない(っていうか書けない)のですが、ふだんの平穏な日常生活を享受しながら、あのテロ事件を機に起きた報復攻撃で何倍もの罪のない人や子供でさせも残虐な兵器によって殺されていることを薄々知りつつ、どうも現実感がなくピンとこないというだけでフタをしてしまっていることに少し罪悪感を感じながらも、実は間接的に加担しているのも事実なんですよねぇ。(よく家のなかで柱のカドに足先をぶつけ、そういうときのほうがよっぽど痛みを現実に感じますよね・・。)
昨年読んだ三崎亜記さんのとなり町戦争もSF的でシュールな物語なんですが、そんな内容でした。主人公はある日、ポストに届いた町の広報紙でとなり町と戦争を始めたことを知るのですが、町の生活はふだんと変わりません。そのうちに役所から特務命令がくだって戦争に参加するわけですが、いっこうに目に見える敵がでてこない。しかし広報紙によると確実に人は毎日戦死していく・・・。主人公はまったく現実感の無いまま戦禍に巻き込まれるわけですが、実は自分も情勢に加担していることを諭されるという、今の日本の置かれている状況をうま~く小説で表現しているのです。
テロリズムが悪い、先制攻撃はいけない、戦争はいけない。どれも口で言うのは簡単ですが、現実に目をつぶり、鈍感な傍観者になることだけはさけたいなあと思う今日このごろです。
※写真は’93年にNYに旅行したときの今はなきツインタワーの展望室からのショットです。中央が5番街、エンパイアステートビルが見えます。